こんにちは!
誕生月に届く、あの圧着式のハガキ。
「ねんきん定期便」
開けてはみたものの、細かい数字がびっしり並んでいて、結局よくわからないまま引き出しへ。もしかしたら、開けずに捨ててしまった方もいるかもしれません。
心当たり、ありませんか?
かくいう私は、毎年開いて中身を確認する派です。ただそれは、「見る場所」を知っているから。逆に言えば、ハガキを引き出しにしまい込んでしまうのは、見る場所を知らないからです。知らないまま開けば、数字の多さに圧倒されてしまうのも無理はありません。
でも、自分の年金額を知らないままだと、老後の備えが「なんとなく不安だから」で決まってしまいます。不安に押されて必要以上に保険に入ってしまったり、逆に「考えるのが怖いから」と何もしないまま50代を迎えたり。
どちらも、原因はひとつ。
**「自分の数字を知らない」**ことです。
でも、安心してください。
ねんきん定期便で見るべき場所は、たった3か所です。
ハガキと5分あれば、「自分は65歳からいくらもらえそうか」が概算できます。数字がわかれば、足りない分だけ淡々と備えればいい。漠然とした不安は、数字にした瞬間、「計算できる課題」に変わります。
この記事を読むと、こんなことがわかります。
・ねんきん定期便で見るべき「3か所」
・50歳未満と50歳以上で、ハガキの意味がどう違うか
・自分の年金額を5分で概算する計算手順
お手元にハガキがある方は、ぜひ並べて読み進めてください。
さあ、一緒に学んでいきましょう。
ねんきん定期便とは?〜国からの「年金の通帳」〜
ねんきん定期便は、毎年あなたの誕生月に、日本年金機構から届くハガキです(1日生まれの方は、その前月に届きます)。
いわば、年に1回届く「年金の通帳」。
これまであなたが年金にどれだけ加入し、いくら納めてきたかの記録が載っています。
載っているのは、主にこの4つです。
・これまでの年金加入期間
・納めた保険料の累計額
・年金額(様式によって「実績」または「見込み」、ここが超重要。後ほど詳しく)
・直近の納付状況
普段はハガキですが、35歳・45歳・59歳の節目の年だけは封書で届き、全期間の詳しい記録が入っています。今年45歳になる方は、ちょうど封書の年ですね。
ひとつ、知っておきたい事実を。会社員と自営業では、定期便の数字の積み上がり方がまったく違います。会社員は「国民年金+厚生年金」の2階建てで、実績額が毎年しっかり増えていきます。
一方、自営業(国民年金のみ)は増え方がずっと緩やか。会社を辞めてフリーランスになった人が、翌年の定期便を見て初めて「会社員は、それだけで年金を厚く積み立てていたんだ」と気づく。そんな話も珍しくありません。
この会社員と自営業の差については、別の記事で詳しく比較しています。
紙のハガキで見るべきは3か所だけ
では、ハガキを手に取ってください。細かい数字は無視してOK。見るのは、この3か所だけです。様式は年度によって少し変わるので、場所ではなく**「欄の名前」**で探すのが確実です。
① 「これまでの年金加入期間」という欄
国民年金と厚生年金の月数が合算されて載っています。
まず確認したいのは、受給資格。
年金を受け取るには、原則として120か月(10年)以上の「受給資格期間」が必要です(保険料を納めた期間だけでなく、免除された期間なども合わせて数えます)。

転職の合間の空白や、学生時代の未納がある方は、ここに表れます。40代で会社員を続けてきた方なら、まず問題なくクリアしているはずです。
② 「これまでの加入実績に応じた年金額」という欄
この記事の主役はここです。年額でいくら、と書かれています。

ただし、この数字の「正しい読み方」を知らないと、確実に誤解します。
次の章でじっくり説明するので、いったん数字だけ確認しておいてください。
③ 「最近の月別状況」という欄
直近1年ほどの納付状況の一覧です。
会社員の方は「標準報酬月額」(保険料計算のもとになる、給与を区切りのいい額に当てはめたもの)が載っています。

ここは、記録の間違いを見つけるための欄です。
かつて「消えた年金」問題があったように、記録の漏れや誤りはゼロではありません。自分の給与と標準報酬月額が大きくズレていないか、ざっと眺めてください。明らかにおかしければ、年金事務所に確認を。

【最重要】50歳未満と50歳以上でハガキの意味がまったく違う
さて、②「これまでの加入実績に応じた年金額」という欄。
ここで、この記事でいちばん大事な話をします。
同じ「年金額」という欄でも、50歳未満と50歳以上では、意味がまったく違います。

50歳未満のハガキに載っているのは、「今この瞬間までの実績」だけ。
これから60歳まで納める分は、1円も入っていません。だから、45歳の人のハガキの数字は「少なくて当然」なんです。
ところが、ここを知らずに開封すると…
「え、私の年金、年90万円しかないの!?」
と青ざめて、ハガキごと見なかったことにしてしまう。
実はこれが、ねんきん定期便まわりでよくある誤解です。
私も最初に見たときは、意味がわからず不安になった一人でした。
ちなみに50歳以上(60歳未満)の方のハガキは、「老齢年金の種類と見込額」という欄になり、今の働き方が60歳まで続くと仮定した見込額が載ります。こちらは受給イメージにかなり近い数字です。

逆に言えば、50歳未満の人は、ハガキの数字に「これから納める分」を自分で足し算すればいい。そうすれば、65歳時点の姿がちゃんと見えてきます。
次の章で、実際にやってみましょう。
実際に計算してみた〜45歳会社員の65歳時点の年金額〜
モデルはこう設定します。45歳・会社員・夫婦のみ世帯(子どもなし)。
なぜ夫婦のみかというと、
2024年の国民生活基礎調査では、
世帯構成:単独世帯34.6%>夫婦のみ24.7%>夫婦と子ども24.1%
「夫婦と子ども」はもはや最多ではないんです。
なお、独身の方は1人分をそのまま自分の数字として読み替えられます。お子さんがいる方も、変わるのは生活費側だけで、年金額の計算はこの記事のままで使えます。
計算は3ステップです。
STEP1:ハガキの実績額を確認する
モデルの45歳会社員のハガキに、「これまでの加入実績に応じた年金額:年90万円」と書かれていたとします(※これはモデルの仮定です。あなたはご自身のハガキの数字をここに当てはめてください)。

STEP2:これからの「基礎年金」を足す
国民年金(老齢基礎年金)は、
2026年度の満額が月70,608円(年額にすると847,300円)。
40年(480か月)納めて満額になる仕組みで、計算式はこうです。
年額 847,300円 × 納付月数 ÷ 480か月
45歳から60歳まで、あと15年=180か月納めるとすると(国民年金の納付は原則60歳までです)、
847,300円 × 180 ÷ 480
= 年 317,738円
STEP3:これからの「厚生年金」を足す
厚生年金(報酬比例部分)は、給与に比例して増える部分。
2003年4月以降の分は、この式で概算できます。
平均標準報酬額 × 5.481 ÷ 1000 × 加入月数
「平均標準報酬額」とは、賞与も含めて月額換算した平均給与のことです。モデルでは、これからの平均を仮に42万円として(※これも仮定です)、60歳までの180か月分を計算すると、
420,000円 × 5.481 ÷ 1000 × 180
= 2,302円 × 180
= 年414,360円
上記を合計すると、
**65歳からの年金額
STEP1 900,000円(これまでの実績)
STEP2 317,738円(これからの基礎年金)
STEP3 414,360円(これからの厚生年金)合計 年 1,632,098円 = 月 約13.6万円**
これが、このモデルの65歳時点の概算です。

配偶者の分も見てみましょう。
配偶者がずっと扶養内(第3号被保険者)や専業主婦(主夫)で、基礎年金が満額に近いなら、月約70,608円が加わります。
世帯では月約20.7万円。
配偶者も会社員なら、同じ3ステップでその方の分を計算して足せばOKです。
ちなみに、国が公表している2026年度のモデル年金(夫が平均的な収入で40年就業+夫婦の基礎年金満額)は月237,279円。今回のモデルが月20.7万円とやや下回るのは、仮定した給与が平均よりやや低めなことと、実績額を控えめに置いたためで、桁感としては整合しています。
大事なことをふたつ。
これはあくまで概算で、将来の改定や給与の変化で変わります(年金額は物価や賃金に合わせて毎年少しずつ改定されます。2026年度も基礎+1.9%・厚生+2.0%の引き上げでした。定期便の数字が毎年変わるのはこのためです)。
そして、50歳未満のハガキの金額には一部の加算(経過的加算など)が反映されていないため、実際はこの計算より少し上振れることがあります。
改めて、あなた自身の数字で計算する手順をまとめます。

- ハガキの「② これまでの加入実績に応じた年金額」の数字を、STEP1に入れる
- STEP2は、あなたの60歳までの残り月数で計算する(847,300円 × 残り月数 ÷ 480)
- STEP3は、これからの平均給与(賞与込みの月額イメージ)で計算する(平均給与 × 5.481 ÷ 1000 × 残り月数)
- 1〜3を足すと、あなたの65歳時点の年金額(年額)。12で割れば月額です
用意するものは、ねんきん定期便のハガキと、スマホの電卓。5分もあれば計算できます。それだけで、「自分は65歳からいくらもらえそうか」が数字でわかります。
計算してみて「少ない」と感じたら──それが出発点
月13.6万円、世帯で20.7万円。この数字を見て、「思ったより少ない」と感じた方も多いと思います。
その感覚は、間違っていません。公的年金は、老後の生活を丸ごと保証するものではなく、土台です。
ただ、ここで大事なのは**「少ないから危ない」ではなく、「数字がわかったから、足りない分だけ備えられる」**ということ。
埋め方は、人それぞれです。固定費を見直す。少し長く働く。NISAやiDeCoでコツコツ積み立てる。どれか一つでなくていいし、全部やる必要もありません。
積立で備えるなら、NISAとiDeCoの違いを整理したこちらの記事が参考になります。
それから、年金には老後のためだけでなく、万一のとき遺族に支払われる保障(遺族年金)もあります。生命保険を考える前に、まずこの公的保障を知っておくと、保険のかけすぎを防げます。
そして、年金額がわかって老後資金の計画を立て始めると、次に気になるのは毎月の固定費です。
中でも大きいのが保険。医療保険から火災・自動車・生命保険まで「家の保険ぜんぶ」を実額で見直す手順を、私の実体験と判断基準ごとまとめた有料noteを用意しています。必要な方はどうぞ。
次の一歩〜「ねんきんネット」ならシミュレーションまでできる〜
最後に、もう一歩進みたい方へ。
紙のハガキは年1回ですが、「ねんきんネット」に登録すると、いつでも最新の記録をスマホやPCで確認できます。登録は、マイナポータルとの連携か、定期便に記載のアクセスキーから。
[ねんきんネット
www.nenkin.go.jp](https://www.nenkin.go.jp/denshibenri_kojin/n_net/index.html)
ねんきんネットの強みは、シミュレーションです。「このまま働いたら」「働き方を変えたら」「受給開始を遅らせたら」など、条件を変えた見込額を、その場で試算できます。今日この記事でやった計算の、精密版が自動でできるイメージです。
順番としては、まずは紙のハガキで3か所。慣れたらねんきんネット。これで十分です。
まとめ

今回のポイントを振り返りましょう。
- ねんきん定期便で見るのは3か所だけ(①加入期間 ②実績額 ③最近の月別状況)
- 50歳未満は「これまでの実績」、50歳以上は「見込額」。同じ欄でも意味が別物
- 50歳未満の数字が少ないのは当然。「これから分」を足せば65歳の姿が見える
- 計算は3ステップ。ハガキの数字+基礎年金の式+厚生年金の式で、5分で概算できる
- 「少ない」と感じたら、それが備えの出発点。数字がわかれば、必要な分だけ淡々と対策できる
- 慣れたら「ねんきんネット」でシミュレーションへ
引き出しの中のあのハガキが、今日から「老後の設計図の1枚目」に変わりますように。
最後に
あなたのねんきん定期便、「これまでの実績額」や「見込額」はいくらでしたか? 「思ったより少なかった」「意外とあった」など率直な感想を、ぜひコメントで教えてください。
年金は、知らないうちは不安のかたまりです。
でも、自分の数字を知った今日からは、**「漠然と怖いもの」ではなく「少しずつ備えていけるもの」**に変わっているはずです。
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これからもお金について、わかりやすく発信していきます。
ほなまた!
ひろマネー|3級FP技能士・投資歴5年
40代、大阪出身、沖縄移住2年目。
保険・年金・税金・社会保険・投資など「お金の教養」をわかりやすく発信中。